明石のまさです!
自動車業界では、毎年春闘が企業と労働組合の間で行われ、賃金や労働条件の見直しが話し合われます。2025年の春闘はどうだったのでしょうか?
本記事では2025年および2024年の春闘の要求と実績、さらに企業ごとの業績に基づいた交渉内容の違いにも注目し考察します。特に、業績が好調なトヨタやスズキと、業績が悪化している日産や日野といったメーカーの比較は、労使交渉の背景を読み解く上で興味深い事例と言えます。
2025年、2024年の春闘の概要
自動車総連などのホームページなどから概要を表にまとめました↓

自動車業界における2024年の春闘は2万円近いベア(ベースアップ)に5-7.6か月のボーナスを勝ち取っていましたが、2025年も引き続き昨年と同等のベア・ボーナスを獲得しています。
業績が好調なメーカーだけでなく、業績が悪化しているメーカーも大幅なベア獲得しています。自動車業界として賃上げに積極的であることがわかります。業績による違いを解析していきます。
業績好調メーカーの春闘事情
トヨタやスズキなどの事例
- 要求内容と実績
業績が好調なメーカーでは、利益増加が背景となり、労働組合も実績に見合った賃上げやボーナスを要求する傾向があります。たとえば、トヨタではグローバル市場での競争力強化とともに、従業員のモチベーション向上を図るため、要求額が高めに設定されていますが、満額回答を得ています。
スズキでは要求額以上のベアが会社から回答されているケースもあり、人への投資の積極性が感じられます。 - 背景と企業戦略
こうしたメーカーは、今後のさらなる成長を見据えた投資や技術革新を進める中で、優秀な人材の確保と定着が重要な経営課題となっています。したがって、労使間での合意形成が企業の将来戦略とも密接に関連していると言えます。
業績が悪化しているメーカーの春闘事情
日産や日野などの事例
- 要求内容と実績
一方、業績が悪化しているメーカーでは、労働組合は従業員の生活基盤の維持を目的として、最低限のベースアップ(ベア)を求めると思いきや、日産も日野もボーナスは他社に比べて少ないですが、ベアは18000円を要求し日産は16500円、日野は満額回答を得ています。業績が悪くてもここまでベアを要求する労組もそうですが、満額回答する会社もすごいですね。 - なぜ業績悪化でもベアを実施するのか?
- 従業員の生活維持
経済全体での物価上昇や生活コストの上昇を背景に、企業は業績にかかわらず、従業員が最低限の生活水準を保てるようベースアップを実施する必要があると考えます。 - 社員の士気と将来への投資
たとえ短期的な業績が振るわなくても、従業員の士気を下げず、長期的な企業再建や業績回復を目指すための投資として、ある程度の昇給措置が取られていることが考えられます。
優秀な社員に辞められては困りますからね。 - 交渉の結果としての妥協点
労使交渉は、双方の譲歩の結果として成立するため、企業側がコスト圧力を抱えつつも、最低限の要求を受け入れるパターンが見受けられます。
- 従業員の生活維持
今後の展望と課題
- 景気の動向とインフレ
経済環境が問題なく、インフレがこのまま進んでいくのであれば2024,2025年度の春闘のようにベアが引き続き要求されることになる可能性があります。その際、業績が悪いメーカーは他メーカーと同じようにベアを実施できなくなる可能性があります。賃上げできる企業とできない企業で年収格差は広がっていきそうですね。 - 長期的な人材戦略の重要性
労働組合と企業の双方が、単年度の数字だけでなく、中長期的な視点から従業員の育成や定着に注力することが、今後の業界全体の健全な成長につながると考えられます。
まとめ
2024年と2025年の春闘について考察しました。業績が好調なトヨタやスズキでは、企業の収益拡大に応じた賃上げが実現されやすい一方で、業績悪化している日産や日野など厳しい経営状況の中でも大きなベアが決定しています。その背景には、従業員の生活の維持や人材の確保、将来的な業績回復への期待が大きく働いているといえます。双方の事例から、企業は短期的な業績だけでなく、長期的な人材戦略と持続可能な経営体制の構築が求められていることが改めて浮き彫りとなりました。
今後も各社の動向と、労使交渉の結果がどのように業界全体に影響を及ぼしていくのか、注目していきます!皆さんも、ぜひ意見やご感想をお寄せください。
参考・出典
・日本自動車会議所ホームページ:(リンク)
・自動車総連ホームページ:【資料2】メーカー部会主要12組合 要求内容まとめ_3.12
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